<vol.2>植物油はどこに捨てる?
冬の冷えた体をマッサージで温めるために購入した植物油、
使い切ることができないまま季節が変わり古くなってしまった、
というような経験はありませんか?
植物油をはじめ、天然の資源は必要最低限の量を用意して
使い切ることが大切ですが、やむを得ず処分しなければならないとき、
どのように捨てればいいのでしょうか。
植物油は、もともとは植物の種子などから取り出された自然のものだから、
自然に還るだろうと考えて、庭や植木の土にまいていませんか?
もしくは、一番手っ取り早い方法、排水口に流していませんか?
実は、これらの方法は自然のバランスを崩してしまう原因になりかねないのです。
確かに、生ごみを土に捨てると自然に還るように、植物油も庭の土に捨てれば、
土の中にいる微生物の働きによって、いずれ自然に還っていくことでしょう。
しかし、どんなにおいしいものでも、三食分を一回の食事で私たちが
食べることが困難なように、一度に多くの植物油を捨てた場合、
土の中の微生物が処理できる許容量を超え、自然のバランスを崩してしまいます。
また、天ぷら油を排水に捨てることはよくないといわれていますから、
それと同じようにマッサージに使用する植物油も排水口に流すことは
良くないことだろうと想像できるでしょう。
しかし、家庭から出た排水は下水処理場で処理されているのだから、
問題にならないのでは? と不思議に思うのではないでしょうか。
家庭から出た生活排水を処理する下水道処理場は、
日本では広く普及しているため、油は下水処理場で取り除かれて
きれいな水に戻りますが、その処理場にたどり着く前に、生
活排水は細い下水道管を通っています。
そのため、油を捨てると下水道管にべったりと付着して固まり、
詰まりや悪臭の元になります。
さらに大雨が降った時、雨水と生活排水が同じ管を通ることが多い
都心部では、雨水と一緒に生活排水も汚いまま海へ流れ出てしまい、
油がボール状の白い塊となって海岸にたまります。
この白い塊が微生物など海に住む生物を死に追いやり、
自然の分解サイクルを止め、海から生まれる酸素を少なくしてしまうのです。
酸素が生まれる場所といえば森林を思い浮かべがちですが、
実は地球上の酸素発生の約2/3は海、その中でも湾岸の水域から多く生まれています。
油を排水に流すことで、海を汚し、酸素の発生を減少させ、
その結果、二酸化炭素が増えて地球温暖化を早めることになります。
一昔前は、家庭ゴミを出すときに、中身の見えない黒いゴミ袋でも
回収してくれていましたが、今では、中身の見える袋が当たり前になっています。
それは、私たちにゴミの分別を徹底させるとともに、
回収日を守るように意識させる一因になったと思います。
しかし、生活排水は、ゴミと違い、一度排水してしまえば、
他人に見られることはありません。罪悪感なく何でも流すことができます。
だからといって、私だけでなくみんなやっているよね、という気持ちを
私たち1人1人が持っていたら、次の世代に引き継げる海がなくなるのに
時間はかからないでしょう。
下水道管をガラス張りにすることができないからこそ、排水口の先につながる
環境への想像力を持って、大切に資源を活用していきましょう。
◆プロフィール
商品本部商品開発課リーダー。 香りの持つ力を多くの人に知って欲しいという情熱から生活の木に入社。 地球環境や社会問題にも目を向けたモノ作りを目指し商品開発を行っている。












