香りで迎える2012 12/26~1/24
HERBAL MAGAZINE マガジン

<Vol.2>Plant Oil ~植物油~

キャリアオイルとして、また手作り化粧品の材料として...
植物油はアロマテラピーにおいて重要な役割を果たしています。

植物油とは
植物油はその名の通り植物に含まれる油脂(オイル)で、
これを取り出したものが私たちが普段目にしているオリーブオイルや
スイートアーモンドオイルのような食用油やアロマテラピーの
トリートメントに使用するキャリアオイルです。
成分は脂肪酸とグリセリンで構成されており、油脂の種類により
構成している脂肪酸の種類や割合が異なり、それによって性質的な特徴も異なります。
キャリアオイルとして使われるものの中には、植物油の仲間として
扱われてはいますがホホバオイルのようなワックスも含まれます。
ホホバオイルは脂肪酸とアルコールで構成されており、いわゆるオイルとは
構造が異なりますが、同じような用途で使用されます。

一方同じく植物から得られる「精油」(エッセンシャルオイル)は、
植物に含まれる芳香成分で、油脂とは大きく異なります。

植物油の抽出部位とその役割
私たちにとって、植物油は体内で
作る事の出来ない必須脂肪酸を摂取するための重要な栄養源であり、
マッサージやスキンケアに欠かせない化粧品原料でもあります。
では植物にとって、植物油はいったいどんな役割を果たしているのでしょうか。

植物油は様々な部位から抽出されますが、その多くは種子から抽出され、
ほとんどの植物は種を絞れば何かしらオイルが絞り出せると言います。
種に含まれるオイルは、多くの場合、種の中にある胚乳や子葉と
呼ばれる部位に蓄えられています。種類によって、胚乳に蓄えられるものと、
胚乳が退化し、子葉に含まれるものとがありますが、
いずれも種子が発芽する際の貴重な栄養源となります。
この部分を仁と呼ぶ事もあり、アーモンド等は種の中の仁が食用のナッツとなります。
そしてオイルもまた、このナッツから抽出されます。
見た目は大きく異なりますが、ココナッツオイルも同様で、
ココナッツミルク等を採る白い固形部分が胚乳です。オイルはこの部分に含まれています。
一方、食用としてもなじみの深いオリーブ等は種子ではなく
果肉に含まれる油分が植物油として利用されています。
先程のココナッツと同じヤシ科の植物から採れるパーム油も
アブラヤシの果肉からオイルを抽出します。
これらの油分を含んだ栄養価の高い果肉は種ごと鳥や動物に食べられ、
他の土地へと運ばれた後、種が排泄物として排出されます。
そして、そこで発芽をします。オイルは動物に食べてもらい、
種子を遠くへ運んで子孫繁栄に繋げる手助けをしています。
更に、これらの種は動物の消化器官を通ったものの方が発芽率が
高いということも知られており、自然界はこのようにして
成り立っているのだと改めて感じさせられます。


植物油の抽出方法-------
植物油は、大きく分けて、圧搾法と溶剤抽出法と呼ばれる方法によって抽出されます。
アロマテラピーではよくコールドプレスという言葉も聞かれますが、
これらの方法はどのように違うのでしょうか。

■圧搾法
押しつぶす事により物理的に油分を絞り出す方法。
収油率が低いため、油分を多く含む植物に向いています。
前処理として原料を加熱する場合もあり、この工程により
オイルが抽出し易くなります。

■コールドプレス(低温圧搾法)
圧搾法の中でも、熱を加えずに抽出する方法をこのように呼びます。
収油率は更に低くなりますが、熱によるオイルの変質・劣化を防ぎ、
植物油本来の特徴を強く残す事ができます。

■溶剤抽出法
油分を溶剤に浸出させて取り出す方法。
収油率が高く、油分の少ない種子や、圧搾法で絞った後の残渣からも
オイルを抽出する事が出来ます。
しかし、抽出後は精製して溶剤を除去する必要があります。

精製
抽出したオイルの不純物、色や香り、その他不純物を除去する際に用いる工程。
酸化したオイルも精製する事によりPOV値を下げる事が出来ます。
気になる臭い等も除去できますが同時に植物油が本来持つ特徴成分も取り除きます。
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スペインの伝統的なオリーブ油抽出法が守るもの
スペインのレリダという古い町には、今でも伝統的な製法で
オーガニックのエクストラバージンオリーブオイルを抽出している会社があります。
社長のアントニオさんに製造方法を教えていただきました。

オリーブをすりつぶす
石臼のような巨大な道具を用いて、オリーブの実をすりつぶしていきます。
実には、果皮と果肉と種子が含まれオイルが採れるのはこのうち果肉の部分。
でもまるごと一気にすり潰していきます。この円錐状の石は機械上で公転と自転をします。
この両者の回転のスピードの違いにより更に摩擦が生じ、果実をより確実にすりつぶすのです。

こす
つぶしたものは、水圧式のプレス機で圧力をかけながら140枚の
フィルターを通してこします。
これによって果肉や種などの固形部が取り除かれ、
オイルと水分の液体部分が取り出されます。

デカンテーション
この後、デカンテーション(静置分離)により、油分と水分とを分離されます。
ここまでの工程は一切熱を加えず、温度管理のもとに行われます。
ヨーロッパの規格では、食用オリーブオイルはこの製法で製造したものに
「Cold Press」の表示が付けられています。
「エクストラバージンオリーブオイルのコールドプレスの作業には人員も必要ですし、
見ての通りとても効率の悪い仕事です。
しかし私は、この町で働いている人達の働き口を守り、
そして自然を守るために今まで続けてきました。
そしてこれからも自分の考えに基づきこの仕事を続けていくつもりです。」
と、アントニオさんは仰っていました。

用語解説-------
必須脂肪酸:成長や健康維持に必要だが、体内で合成する事が出来ない脂肪酸の総称。
胚乳:種子の中の組織の一つ。
子葉:種子の中で、発芽の際に最初の葉になる部分。
POV:酸化の度合いを示す指標の一つ。

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◆プロフィール

商品本部商品開発課 マネージャー 開発チームを率い、生活の木の商品開発を行う。 その他、Lifeware Bookの編集を担当。

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