HERBAL MAGAZINE マガジン

Lavender ~ラベンダー~

「Lavender ~ラベンダー~」 
最も有名なハーブと言っても過言では無いラベンダー。
その種類は園芸種を含めると100以上あります。
アロマテラピーでは主に真正ラベンダー、ラバンディン、
スパイクラベンダーが知られていますが、
そもそもこれらはどうやって出来てきたのか。
ラベンダーの栽培背景から、探ってみたいと思います。

原種と雑種
真正ラベンダーとスパイクラベンダーは原種です。
プロヴァンスでは真正ラベンダーは標高の高い地域、に自生します。
標高500m以下の地域で見られるラバンディンは、
真正ラベンダーとスパイクラベンダーの雑種で、
もともとは自然交配(ハチなどを媒介して受粉がおこなわれる)
によってうまれたものです。
最初は野生で生えているものが見つかり、
研究の結果原種2種の雑種である事がわかりました。
このラバンディンは真正ラベンダーとスパイクラベンダーの
特徴を併せ持っており、標高の低い場所でもよく育ち丈夫で
精油の収量も多い事から、その後香料ビジネスの発展とともに
盛んに農場での栽培がおこなわれるようになりました。

ラベンダーの農業生産
通常ラベンダーとラバンディンの栽培は「挿し木」
という方法で行われます(図1)。
挿し木は大元の親株の一部が育ちますので、
親の特徴をそのまま引き継ぎます。いわば親の分身です。
雑種であるラバンディンは種がほとんど出来ないため、
挿し木での育苗しか行われていません。
原種のラベンダーは種も出来ますが、栽培下では種まきは殆ど行われません。
それは何故なのでしょう。
一つのラベンダー株から複数の種が採れますが、
その種を播いて発芽したラベンダーはそれぞれ違った特徴を表します(図2)。
私たち人間が同じ両親から生まれた兄弟でもそれぞれ見た目も体質も違うのと同じ事です。
したがって安定した同じ性質のラベンダーを育てるためには、
挿し木による生産が有効なのです。

図1:種まきイメージ

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図2:挿し木イメージ

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優良選抜
挿し木によって、多様なラベンダー、ラバンディンから、
より生産性の高いもの、品質的に優秀なものを選抜して同じものを
増殖させる事が出来るようになりました。これを「優良選抜」と呼びます。
農業生産では一般的に、農業試験場や種苗会社が選抜品種の苗を
挿し木で作ったものを各農家が育てます。
生活の木のパートナーファームとして長年のお付き合いのある
ビュージーさん親子のラベンダーファームでは独自の優良選抜も併行して行い、
強くて品質の高いラベンダーを追求しています。

優良選抜イメージ


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北海道のラベンダー
日本のラベンダーと言うと、北海道を思い浮かべる方が多いと思いますが、
現在に至るまでにはラベンダーにまつわる長い歴史があります。
北海道のラベンダーのルーツは曽田香料にあります。
創業者である曽田政治氏が昭和12年フランスから
5kgの種を入手したのが始まりです。
各地での栽培を試みた結果、最もラベンダーの生育に適しているのが北海道でした。
昭和15年から本格的なラベンダー栽培が行われ、昭和17年、
初めてのラベンダー精油の蒸留に成功します。
香料ビジネスの発展により、より良い精油を産み出すラベンダーを求め、
品種の研究が進められ、今もよく知られる北海道のラベンダー品種、
オカムラサキ、ヨウテイ、ハナモイワなどが出現しました。
ただし、これは掛け合わせによる品種改良ではなく、優良選抜によるものです。
したがってこれらのラベンダーは全て「真正ラベンダー」。
新たなものを作り出すのでは無く、真正ラベンダーを守り続けてきたのです。
ラベンダーは美しい花の印象が強いですが、
もともと香料用(エッセンシャルオイル用)として栽培されていたので、
優良選抜のポイントは収油率などの精油生産性と香りや
有効成分含有量といったエッセンシャルオイルの質に関わる性質でした。
昭和40年代後半からは安い輸入香料に押され、
北海道のラベンダー香料ビジネスは衰退していきます。

多くのラベンダー畑が他の作物へと切り替わっていく中、
富田ファームオーナー富田忠雄さんはラベンダーの栽培をやめずに育て続けてきました。
いまでこそラベンダーと言えば富良野という程に観光としても
定着していますが、これまでの北海道ラベンダーの歴史は、
その紫色の花に魅了された多くの方々によって支えられてきました。
富田ファームのオーナー富田忠雄さんがラベンダーの事を
「男心を揺さぶって止まない植物」と仰っていたのが印象的でした。


お話を伺った方-----
富田ファーム 富田忠雄さん
曽田香料(株) 後藤秀雄さん
曽田香料(株)OB 大野邦夫さん
ポール ビュージーさん、ジャン ピエール ビュージーさん
クリス バン エイカーさん

用語解説-------
雑種:異なる品種を掛け合わせて出来た種。ハイブリッドとも言う。
交配:受精、受粉する事。
育苗:苗を育てること

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◆プロフィール

商品本部商品開発課 マネージャー 開発チームを率い、生活の木の商品開発を行う。 その他、Lifeware Bookの編集を担当。

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