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プチグレイン(ビターオレンジ)

2017.02.15 TEXT by Keiichiro Tsuda (Perfumer)
プチグレイン(ビターオレンジ)

少し冷めた濃いめの緑茶を飲んだ時、鼻から抜ける香りに少しプチグレインと似た香気を感じます。嗅ぎ口は葉々様で少し苦みがあり、上品なネロリ(ビターオレンジの花)の雰囲気も潜んでいます。徐々に渋みが消え、ブレない木の落ち着く香りに移り変わっていきます。

プチグレイン(プチグレン)は、ビターオレンジ(Citrus aurantium)の木の枝葉を蒸留して精油が採られます。香りの中にはシトラスの香調が宿っており、他種のプチグレインマンダリン(Citrus reticulata)には可愛らしさとしずる感が。プチグレインレモン(Citrus limon)は明るく、乾くとレモニーな粉っぽさを放ち続けます。
「その血が通っているからこそ、その実が成る」という生き物の成り立ちを教えてくれる存在です。
それゆえ香水・香料業界でプチグレインは、しばし「シトラス」の香調に分類されます。

もう一つの特徴は、リラックス効果があると言われている「酢酸リナリル(Linalyl acetete)」という成分が40%以上も含まれていること。
酢酸リナリルを多く含むアロマの代表に、ラベンダーの名が上がりますが、実はラベンダーより酢酸リナリルが高含有だということは、意外に知られていないかもしれません。


香水・調香の歴史の中で、女性が強く凛とした姿勢で社会進出を望み、次世代に向けその意識に追い風が吹いた時、グリーンで透明感のある香調がブームになりました。
その際にもプチグレインは多数名作の香水に出演しています。フローラルでいてグリーン、渋みがあるけれど爽やか、中間的な印象がどこかユニセックスな香りと捉えられたのでしょう。
トップノートのシトラスから、ミドルのフローラルノートに上手に繋げてくれる便利な素材。ただあまり入れすぎるとエグみと渋みが目立ってしまうので、少量の配合をおすすめします。


本格的に梅雨入りする前の季節、夕立がざっと降り、植物たちがゴクゴクと水を吸収した時、
夕暮れ時の街が、このプチグレインのようなほのかな緑色に包まれる瞬間があります。
その瞬間が大好きです。


●おすすめブレンド
柚子、プチグレイン、クラリーセージ(ブレンド比率はお好みで)


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