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シトロネラ

2020.05.18 TEXT by Keiichiro Tsuda (Perfumer)

知っていますか?「シトロネラ」をWEB検索すると、「レモングラス」の情報が出てきます。
それもそのはず、レモングラスもシトロネラも、パルマローザもCymbopogonなので、イネ科オガルカヤ属です。それぞれを構成する香気成分の組成はまちまちですが、類似したシトラス様グリーン香気を共通して有している植物です。


俗に虫が嫌いな香りも多々あり、天然精油の虫の忌避作用についての研究は今もなおされていると思いますが、香気成分的に大きく分けてその精油を3タイプに分けてみます。

◆シトロネラ[Cymbopogon winterianus、nardus] レモンユーカリ[Eucalyptus citriodora] 

 特徴成分は「Citoroneral /シトロネラール」(テルペン系アルデヒド)。虫が嫌がる成分と言われるこの香気が多く含まれるとして知られています。テルペン系アルデヒドはテルペン系アルコールと比較しても、力強く、その根強い香り残りも特徴です。人がこの精油の香りを感じた時、少々強烈で濃い香りに、あまり親しみを持てない人も多いかもしれませんが、それは虫にも同じこと。この力強いグリーンの香りは香水の調香では少々使いづらいこともあり、あまり使用されることはありません。

◆レモングラス[Cymbopogon flexuosus/Cymbopogon citratus]

 特徴成分は「Citral /シトラール」(テルペン系アルデヒド)。Citoroneralよりもレモニーで黄色く幾分か爽やかな印象の香気成分。唯一、葉をハーブとして飲食が可能な植物素材。シャープさとレモンのサワー感が特徴。少々イネ科特有の筋張った硬いリーフィーなエグ味が目立ち、どこか乾燥したい草="藁"感を漂わせますが、シトロネラより香り立ちも香り残りも軽快です。清々しさがあり、シトラス系のブレンドに少量加えることでハーバル感を付与することができます。

◆パルマローザ[Cymbopogon martini]、ゼラニウム[Pelargonium graveolens]

 特徴成分は「Geraniol /ゲラ二オール」または「Citoronerol /シトロネロール」(テルペン系アルコール)。これらテンペン系アルコールはフローラル香を有します。GeraniolもCitoronerol もローズの特徴香気成分であることからも、香水などの調香には使用されやすい精油。またゲラニオールはホルモンバランス調整作用があるなどとも言われ、アルデヒドほどの強烈さがないため、もう少し軽やかでソフトな印象。その分、鼻の奥のほうで感じる「ザラザラ」感がやや目立つ素材です。


植物・葉が放つ香りには、それぞれのキャラクターがあり。同じ属科でも放つ香りに明確な特徴差異がある点に私は愛着を抱かずにはいられません。精油は薬品ではありません。せっかくの天然植物が放つ芳香が、虫の忌避作用目的のためだけに使われるのはとてももったいない気がします。


私が思うシトロネラの香りの特徴は、"甘さ"です。
レモングラスにはなく、パルマローザにもない。少しの粘性を有する甘さ。
まだ熟れていない甘夏みかんの果皮と、生姜のピクルスを蜂蜜で煮詰めたような...
なんとも形容し難いですが、力強くシャープで、それでいてマイルドな甘さが内包されています。

東南アジア諸国では、アロマテラピー云々という以前から、シトロネラのハーブは生活の中で根づいていて、馴染みのある植物です。

想像してみてください。
東南アジアの真夏の熱帯夜、まとわりつくような重めの湿度が混じった夜風と共に、夜の暗闇にこだまする虫の音色。
水浴びした後のまだ火照る体に、シトロネラのスプレーや化粧品を使ったり、部屋にシトロネラの線香を焚いたりして過ごします。
スコールの後、ひとたび暑さが静まり、野生味溢れる夜のひととき。

それは褐色の肌に合う、爽やかでタフで、どこかエキゾチックな、
暑さに負けないワイルドなグリーンの香り。


シトロネラは別名「コウスイガヤ」とも呼びます。
シトロネラが盛んな熱帯地域では、もしかすると他の何よりフィットするフレグランスなのかもしれません。


「コウスイガヤ(香水茅)」の名前のごとく。

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