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アロマブレンドラボラトリー エッセンシャルオイル

ゼラニウム

2017.06.19 TEXT by Keiichiro Tsuda (Perfumer)
ゼラニウム

窓からの景色が滲む、長雨の季節。
一過性とはいえ、生物にとって多大な影響があるだろう降水量が集中し、私たち人間にも何かしらの体調変化の引き金になることもあります。温度や気圧変化による体調の乱れ、むくみ、曇天の日々が続くことで気分も晴れない。 よく夏野菜などは、後の夏の炎天気候を乗り切るために、梅雨に振る水の貯蔵が必要になるといわれたりしますが、 人の水分確保は自給可能なので、この季節の湿気はややtoo muchなのかもしれません。

植物の中でも1年を通して比較的水分コントロールが上手なゼラニウム(Pelargonium graveolens/odoratissimum/asperum)。
根を張り蔓延ることに長けており、寒い冬の季節でも、根がダメにならない限りは年を越して通年で育ちます。 土壌がいいと摘んでも摘んでも、新たな若い葉を出し四方に葉を広げていきます。広く大きく繫栄させるには、ただ栄養を与えるのではなく、必要に応じ葉や枝を斫る。すると今まで栄養が行き届いていなかった枝葉にまで余力エネルギーが届き、どこか別のところが繁栄していく。 全体を膨らませるためのこの引き算に、ブレンドの極意と、生き物が成長するヒントが隠されているように感じます。

香りはローズに似ていることでも有名。共通した香気成分Geraniol、Citronellolをはじめエステル類を持ちながら、でもやっぱりハーバル代表といったような薬草的な印象。ローズよりザラっと乾いた香りがし、シトロネラより柔さとたおやかさを持っている。時にローズ香調に分類されたり、アロマティック香調に分類されたりと需要はフレキシブルです。


道や花屋の店先でゼラニウムを見かけたら、雨に濡れたその葉を、犬や猫を顔を両手でモシャモシャっと掻き撫でるように、
茂った葉々を優しく掌で揺すってみてください。そして顔を洗うポーズで思い切り嗅ぐと、
雨水で湿度が加わった、濡れて滲むゼラニウムの香りが楽しめます。





●おすすめ使用方法
蒸れた季節のお部屋の環境芳香、入浴の沐浴法にゼラニウムの香りはおすすめです。単品でのゼラニウムの香りが苦手な方は、オレンジスイートやマンダリンとの相性で親しみやすい香りになります。 同じハーバル素材との相性はもちろん、パチュリやベチパーなどのインセンス要素と合わせると、 静かな色気が出て、ぜひ男性に香らせてほしい、ナチュラルなアロマフレグランスに仕上がります。

●ゼラニウムの注意点
ゼラニウムは女性ホルモンバランスに有用に働きかけると言われます。気分に合わないとき、香りを芳香と感じない時は使用を控えましょう。また妊娠初期、分娩前後の使用も控えましょう。

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