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ジャスミン

2017.08.15 TEXT by Keiichiro Tsuda (Perfumer)
ハゴロモジャスミン

「完璧」「純潔」「高品質」などの理想的な完全性を逐い求める心理が、どこか人にはあると思います。
それを求める度合は人それぞれで、端からそんな完璧なものを求めない、無理!と思う人や。
限りなくそれに近いものを求め、自分の理想となるものにミリ単位で調整をかけていく人もいます。
そんな中で、非常に完璧に近いと思える人に少し鈍臭いところがあったり、
ずっと欲しいと思っていた商品に少し傷があることでB品になって、割引価格で売られているのを見たときに、
求めていた理想以上に愛着が沸いてしまったりするのは、私だけでしょうか?


使う時にそんな心理がよぎる香り素材が、ジャスミン(Jasmine officinale)です。
香料業界ではローズ、ミュゲ(スズラン)と共に3大フローラの一つとして、花の王様とも言われています。力強く豪華で陽気、甘く官能的で、lactic(脂肪感)なホワイトフローラルの香りを持っている唯一無二の芳香です。
その華やかなパワーを持つことから、ジャスミンの要素が入っていない香水はない。とも言われるほど。

ジャスミン原料は2種あります。
肉厚で花頭の大きいジャスミンは、お花屋さんで鉢物が販売されているのをよく見ます。
もう一方のジャスミンサンバックAbs.(Jasminum sambac)も、蔓状に張った枝から八重咲きの小花が愛らしい種。香りはジャスミンより華奢でグリーン、沖縄のさんぴん茶を想起する、幾分涼やかな印象。
初夏に甘い香りをさせ、夏の始まりを知らせる花のひとつです。

ジャスミンはモクセイ科ですが、同じくモクセイ科には芳香をさせる花が多く「キンモクセイ」や「ライラック」も同じファミリー。
華やかさと輝かしさ、気高い香りを放つジャスミンには、極微量成分として、Indol/インドール(2,3-Benzopyrrole)や、Skatole/スカトール
(3-Methylindol)という香気成分が含まれます。これらはその名の通り、高濃度で強烈な糞尿の香りを持つ成分。
しかし極低濃度に希釈することで、花の恐ろしいくらい良い香りに変わります。
面白いもので、これがジャスミン芳香の根底を支える、隠し味を担っているんです。

ジャスミンの香りにこの糞尿臭が含まれず、芳香な成分組成のみだったら、
もしかすると長い歴史の中で、ここまで愛され続ける香りになり得なかったかもしれません。

少しの「毒っ気」「灰汁(アク)味」「俗っぽさ」を隠し持っていたから、これが生き物臭さというカタチで、色気を醸し出しているんだと思います。

 

     

きっと人も同様、アンドロイドのようにコンプリートされるより、
少し人間臭さが垣間見えた方が、艶めきが増すような気がするのは、私だけでしょうか?

 


 
●おすすめブレンド
ジャスミンをはじめホワイトフローラル系の香気は、褐色シトラスとの相性が非常に良いと言えます。
また何より、花の女王と呼ばれるローズとの組み合わせは、至極のペアリングです。


●ジャスミンの注意点
香りが強い為(&高価なため)、ブレンドには微添がおすすめです。
時間が経つにつれ、トップノートが揮発した後に、上記のインドール臭が目立つようになります。
原液の使用よりスプレーなどで希釈するとよいでしょう。
また加熱式の芳香器や沐浴法にはあまり向きません、熱がかかることで軽い香気成分の揮発を早め、香り変化が目立ってしまうためです。
できれば直噴霧式か水に精油を滴下するタイプの芳香器(ディフューザー)で使用することをおすすめします。


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