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アロマブレンドラボラトリー エッセンシャルオイル

マジョラム

2017.09.20 TEXT by Keiichiro Tsuda (Perfumer)
マジョラム

幼少時代、私の小学校では、1、2か月に1度通常の掃除に加え、油性の液体で教室の床にワックス掛けをする"油引き"、
という習慣がありました。乾燥と雨の日の水濡れを繰り返すことで起こる、板張りの床材の老朽化を防ぐことが目的だったのでしょうが、
大人になってから、この話をしても通じる人が少なく、上履きで校舎を歩いていた人がほとんどで驚いたものです。
この"油引き"に使用する、当時得体の知れなかったこげ茶色の液体(おそらくオイルステイン的なもの)の匂いが独特で、
油引きを行った日は、「今日は油引きやったん?」と家族に聞かれるくらい、全身に染み付く特徴的な油の匂いでした。
粘土のような、工業油のような、でもどこか少しサワーなその香りが、その後にもあまり嗅いだことのない、あの頃の香りです。

大人になってアロマの香りを知るようになり、マジョラム(Origanum majorana)のエッセンシャルオイルを嗅いだ時、
この"油引き"の匂いに類似したものを感じ、一気に昔懐かしさがフラッシュバックしたことを覚えています。

香りは前にお話ししたクラリーセージ同様で、極端な印象を複合的に持つ香りです。
「スイートマジョラム」というだけあり甘みを感じる反面、シソ科特有のシャープな切れ味。
それなのに油っぽく粘着質で、清涼さと温もりを同時に感じ、スパイシーでいて瑞々しい。
心理的作用は、バランスを保つこと手助けをしてくれるアロマです。


ヨーロッパでも古くから使用されてきたハーブのひとつ、現代でも肉の臭みを取る調理用ハーブとして洋食に活用されます。
マジョラムという名前は、ラテン語で「より大きい」を意味するmajorに由来するという説もあり(和名:マヨラナ)、
このハーブが寿命を大きく延ばしす「長寿」の象徴とされます。
またギリシャ・ローマ時代には、幸福または純愛のシンボルとして、結婚するカップルに贈られるハーブだったそう。


先週、冒頭の"油引き"習慣を知っている地元の幼なじみが結婚しました。
二人の今までの道のりは決して甘いだけでなく、シビアの空気も漂い、時に粘り、スパイシーさも伴うもの...。
きっとそんな幸せなストーリーが、これからも続いて行くんだろうなと思います。

心から願うマジョラムの花言葉、「いつも幸福」を祈っています。

 

 

●おすすめブレンド
柑橘精油には何にでも合います。
おすすめはフローラル調ハーバルな香りとの相性です。ラベンダー、ゼラニウム、カモマイル
など花要素を感じるハーブに加えることで、より気持ちに浸透させてくれるようなハーモニーが生まれます。
またウッドやバルサム系素材(サイプレス、モミ、シダーウッド、コパイバ)などと合わせると、
規律正しいシャープさが加わるため、気持ちを静かにさせたいとき、冷静になりたいときにぴったりです。


●マジョラムの注意点
妊娠中の方や血圧に心配がある方は使用をお控え頂くか、お医者さんにご相談の上ご使用ください。
ブレンドに使用する際は、香りが特徴的でしっかり香るため、全体がマジョラムの匂いになってしまわないよう、
分量を意識的に少なめからお試しいただくことをおすすめめします。


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