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アロマブレンドラボラトリー エッセンシャルオイル

フランキンセンス(オリバナム/乳香)

2017.12.04 TEXT by Keiichiro Tsuda (Chief Aroma Blender)
フランキンセンス

初めてフランキンセンスに出会ったのは、今から10年以上前、伝統的な使われ方を見たのが最初でした。
イスラエルは東エルサレムの旧市街地。たしか「聖墳墓教会」付近をうろちょろしていた時に、
定刻の儀式のようなものが始まり、正統な教徒(おそらくキリスト教徒)たちがトラディッショナルな衣装に身を包んで、
祈りを唱えながら、行列をなして歩いていました。
行列の先頭には、細長い金属製の竿のようなものを持った人が、参列者を誘導しており、
竿の先端から同じ金属製の球状の入れ物が垂れ下がっていて(釣りでいうところの浮きの部分)
その球のボールから煙がモクモクと立っていました。

ご存知な方も多いと思いますが、これが"振り香炉"。中にフランキンセンスなどの薫香を入れて
キリスト教をはじめとする、各種宗教儀式に神聖な香りを燻らせるための道具として使われます。
世界中から様々な目的、人種、宗教の人々がその場所にごった返している中、
私にはその儀式より、その煙から放たれる決定的にホーリーな香りが印象的で、深層心理に浸み込むような感覚でした。
生まれ育った日本では感じたことのない異様な空気感と、厳粛で壮大な歴史的ムードと一体となって、
まさに「香りに触れた」瞬間だったことを覚えています。

フランキンセンス(Boswellia carterii/時にオリバナムや乳香と呼ばれます)はイエメンやオマーン、ソマリアなどに自生するカンラン科の
木から採られる樹脂をいいます。木の幹を傷つけると白い樹液が出てきて、それが凝固すると写真のようなクリーム色や琥珀色の固形物になります。
その固まった樹脂を水蒸気蒸留して得られるのですが、香料にはこのような樹脂精油が多く存在します。
エレミ、ミルラ、ベンゾイン、コパイバ、ペルー、トル―、スチラックス等々...。
その中でもフランキンセンスはアロマテラピーで多く使用されます。
抗菌・防腐に優れていると言われ、近年では抗老化・抗酸化作用があるという研究結果も多く、
アンチエイジングの代表的な化粧品原料としても注目されています。

レジン特有のどこかケミカルで工業的な何かを連想するような嗅ぎ口ですが、言い換えるとそれは
黄金と煌めきを感じる香りで、すべてを洗い流す聖水のような瑞々しさがあります。
キンと寒さの張りつめる夜空に輝く星のような、真っ暗な海に差す一線のビーコンのような、気高さと神聖さが香りから溢れています。
フランキンセンスの香りは何にも相容れないようで、エラスティックな親和性を持つ不思議な香りです。
 

少し話を変え、
子猫や子犬が戯れている動画を見て、気持ちがほころんだリしたことはないでしょうか?
実際は「ペットが欲しいなー」と思って見る方もいるかもしれませんし、単にかわいいなと思って
見ている人もいると思うのですが、何かしら見るものを釘付けにする力があるんだと思います。
私が思うにそれは「純真無垢さ」ではないかと思うんです。
疲れていたり、忙しかったり、荒んでいたりすると、その無害で無垢で罪のない小さな小さな存在を
見たとき触れたときに、何かが崩れるように心が解けていくことがあると思うんです。

フランキンセンスには他のエッセンシャルオイルとは違い、そんな心理的作用を感じます。
シトラス=リフレッシュ、フローラル=華やか、ミント=クール...
みたいなそうゆう固定概念に捕らわれることなく、もっと香りに触れるような感覚で、
自身のメンタルに浸透させ、浄化されるように香りを感じてもらいたい。

 
 
三人の賢者がキリストの誕生の贈り物の一つに、フランキンセンスを選んだみたいに、
この冬、このホリデーシーズンに今一度フランキンセンスの香りに触れてみてください。
2017年を振り返って、心に浸透し解けていくような、そんな手助けをしてくれるはずです。


 


●おすすめ使用方法
フランキンセンスは温度の加えるとより香り立ちが際立ちます、アロマランプなどの使用がおすすめです。
もちろんディフューザーでも使用はできます、その場合はぜひブレンドで
◇オレンジやベルガモットと:甘みが出て嗅ぎ馴染みのある香りになります。
◇ラベンダーやホーリーフと:シャープさが丸みを帯びて優しい香りになります。
◇モミやユーカリと:今の季節にぴったりなお部屋の空気をクリーンに心掛けられます。

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