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アロマブレンドラボラトリー エッセンシャルオイル

ベルガモット

2018.01.29 TEXT by Keiichiro Tsuda (Perfumer)
ベルガモット

ベルガモットの香りをご存知でしょうか。

一般的に食用果実として流通していないため、ベルガモットがどんな柑橘なのか知らない人も少なくないと思います。
アロマテラピーやフレグランス用途の植物香料としては、省略することのできないシトラス、
ベルガモット(Citrus bergamia)は必要不可欠な素材です。

柑橘精油というものは、原料となるそのおおよそが、ジュースや食品加工に使用された後の皮から採油されます。
その為柑橘精油が世界的に枯渇したり生産規制がかかるということは考えづらいのですが、
このベルガモットに関しては、世界的に食されることがほぼない為、香料素材としてだけの需要で成り立っており、
その生産量の90%を閉める産地がイタリアのレッジョ・カラブリア地方という稀な精油です。


ベルガモットは「ライム」と「ビターオレンジ」の交配種と言われています。
ビターオレンジの気配は何となく感じますが、ライム特有なグリーンの印象はあまり宿していません。
もっと成熟した印象を持ち、セピア色・琥珀色のムードのあるシトラス香気がベルガモットの特徴です。
紅茶のアールグレイの着香料としても有名なお話し。なぜ紅茶葉にベルガモットの香りを付けをしたかは諸説ありますが、
「あのアールグレイの香りです」と説明するほうが、香りを思い出すに早いかもしれません。


私はよくベルガモットの香りを「黄昏の色と香り」と表現します。
柑橘群に共通するシトリックな爽やかさを、日中の明るさと置き換え(これは香りの表現の一例です)
例えばレモンやグレープフルーツの透明で黄色い香りは、朝からお昼ごろまでの太陽の明るさ。
オレンジやマンダリンが太陽が一番元気な正午から昼下がりの日差し。
柚子やこのベルガモットは、夕刻の時間帯に感じる、少し落ち着いた夕日の印象。
その香りの特徴を出しているのは「Linalool」や「Linalyl acetate」が高含有なことです。
柑橘の中でもフローラルと通じるところがあり、フローラル調の香水のトップノートに柑橘を使うなら、
必ずベルガモットと言っていいほど、大人の雰囲気を持っています。
 


 

初夏の夕暮れ時、洗濯物を取り込むためにベランダに出ると、
どこからかナイター中継のテレビ音声がして、通りで誰かがビーチサンダルを引きずるように歩く音、虫の声。
大きなグラスに氷を山盛りに入れて、濃い目に淹れたアールグレイを注いで
とびっきりおいしいアイスティーを飲みながら、夕涼み。

こう寒い日が続くと、そんな反対側にある季節が恋しくなります。
 
 


●おすすめブレンド
これほど他の何の精油にも合う香りはないんじゃないかというほど、どの精油ともブレンドしやすい精油。
例えば身も心も忙しくてホッと一息つきたい時は、ラベンダーとローズマリーとベルガモットのブレンドが
オススメ。思考回路の運動に一時の休憩を与えてくれるような香りです。

また上記のような夏の夕暮れ時には、ネロリとリツエアクベバ、ベルガモットの香りを。
夏を実感させてくれる至極の爽快感を与えてくれます。

●ベルガモットの注意点
ベルガモットはフロクマリン(光毒)成分が含まれます。
ベルガモットのエッセンシャルオイル(精油)を原液または原液に近い状態で肌につけると、
シミや皮膚炎症を起こす可能性があります。
トリートメントをはじめとする、お肌につける手作り化粧品にベルガモットを使用する際は、
フロクマリンフリー(光毒性成分カット)タイプのベルガモット精油をご使用ください。

フロクマリンフリータイプも100%天然の精油です。

※芳香浴に使用する分には、通常のベルガモット精油をお使いいただき問題ありません。



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