シアは、ガーナを始めとする西アフリカのサバンナ地帯に自生する木。種子の中心にある仁から採られた油脂がシアバター。
乾燥が気になる季節に欠かせない、シアバターの産地、ガーナを訪れました。
保湿の王様シアバター
シアの木はアフリカ大陸の北緯5~10度に位置する、湿潤サバンナ地帯に自生しており、ガーナ北部も含まれます。ガーナと聞くと日本ではチョコレートのイメージが強いですが、カカオだけでなくシアバターもとても有名です。
ガーナの首都から飛行機に乗り、1時間ほどでガーナ第3の都市タマレへ。その後、タマレの中心地から車で40分ほどの集落にシアバターの木々が広がっています。
砂漠のイメージとはほど遠い緑豊かな平地に驚きました。収穫時期の6月は雨季ではありますが、高温多湿でそよ風もなく太陽が照りつけます。日中は気温38度、朝でも28度と、一日中暑いのです。
暑さゆえ、日が出る前の朝4時からシアバターの実を収穫します。木から落ちた実を地面から拾い続ける収穫方法で、現地の女性たちが身をかがみ中腰で作業をします。簡単な作業のようですが、慣れないと地味に辛いです。
そして朝の7時にはほぼ収穫終了となり、そこからは暑さとの戦いのため短時間勝負。
シアバターの実は鮮やかな黄緑色で青梅のような見た目で、食べてみるとアボカドのようなクリーミーさとほのかな甘さがあり、果肉は薄くて美味しい!市場にはなかなか出回りにくい、現地ならではの食べ方です。
シアバタークッキング
シアバターは現地で食用オイルとしても使用されており、女性たちがお昼によく食べるという、米を炒めて煮たパエリアのような料理をいただきました。
シアバターで米を炒めてから水、塩、コンソメ、トマトペースト、カイエンヌペッパー、粉末の魚粉を入れ20~30分煮ます。シアバターたっぷりにもかかわらず油っぽくなく、香りも気になりません。辛味がくせになりとても美味しかったです。
普通に調理オイルとしても使えるのは意外でしたが、これも現地ならではですね。
髪にも口唇にも、全身に使える万能アイテム
シアバターは全身に使うことができます。髪、顔、リップ、ひじ、ひざ、かかとなど乾燥が気になるところならどこでもOK。常温では固形ですが、体温でオイル状にとけて肌に浸透していきます。バターと言われるだけありオイルというよりクリーム感覚で使えるのが特徴。現地の女性はシャワーから出た後、顔からボディー、全身に塗るそう。
旅の風景
飛行機から降りたった首都アクラは活気にあふれ、子供たちはみな人懐っこく、女性たちはとても働きもので、華やかな柄の民族衣装を身にまといながらせっせと家事や仕事をしていました。しかし働いているのは女性ばかり......
男性は?と疑問に思い聞いてみると、暑さ対策のため、日が出る前と日が落ちてから仕事をしているそう。
雨季とはいえ太陽の日差しで肌は乾燥しやすく、現地の女性や赤ちゃんがシアバターを塗るのもうなずけます。
シアバターの良さを改めて実感する旅でした。